無題 
庄司博彦 3/28(火) 21:00:54 No.20170328210054
シリアで写真展を開催しましたが、そのきっかけは?

気温38度。09年秋、ダマスカス空港。ほかの中東諸国とは、かなり異なる。目の前に広がっているのは
砂漠とアサド大統領の大きな立て看板だけ。僕をシリアに呼び寄せたのはシリア大使館に勤務する友人
ハイサム・ヘメイダン氏「あなたのプロジェクトに感動しました。シリア文化省も賛同し全面協力しま
す」とのお誘い。シリアはイランの隣国でありイスラエルとは対立状態にある。
この国は思いのほか教育熱心だ。義務教育は小学校の6年間だけ。その後は中学・高校が3年ずつ。
その後の進路は、試験の結果で大学進学が決まる。

  シリアの子どもが思う平和とは?
授業が始まると自分の思う平和の定義を次々と語り出した。「学校で勉強できるって平和だよ」「家族
が健康で暮らせるのは平和」「何でも話せる友人がいるのは平和」「この国はみんなを守ってくれるか
ら平和」同じ様な意見を持つ生徒をグループ別に分けて、どこで何を写すかのディスカッションが始ま
った。写真教室を見守っていた政府関係者から来年シリアで写真展開催しませんかと招待を受けた。

  国営テレビも駆けつけ盛大に写真展
翌年の2010年。写真展開催のため5人の仲間と再びシリアの大地を踏んだ。空港前の道路は拡大され、
砂漠の中にはホテルが建っていた。会場は首都ダマスカスと近郊の都市スウェイダの2つの都市にある
いずれも国立美術館。オープニングパーティーには、政府関係者・文化省・外務省・バース党幹部を
はじめ在日シリア大使館・JICAシリア事務所など日本の関係者も来訪。もちろん教え子たちも大勢の
家族・親族で超満員。これらの模様は国営シリアテレビをはじめ民放テレビでも放映されたため、翌日
からどこに行ってもVIP 扱い。

  シリアの子ども達はいま?
写真展や写真教室開催し、帰国半年後シリアでは、中東の民主化運動「アラブの春」に触発され2011年
3月に反体制派が平和的デモを始めたが、アサド政権下武力で弾圧し内戦が始まり7年目。政権側はロシ
アやイランへの依存を深めクルド人勢力と連携する米国、北部に軍事介入したトルコを含めて関係国が
自国に有利な解決策を模索している。シリアに友人を持つ者としてシリア人同士の解決を期待する。
「平和って何だろう?」と考え君たちの考える平和を撮って来て!」そう言われた子ども達は片手に
「写ルンです」を持って教室を飛び出して行った。あの日の「レンズに込めた思い」を忘れないためにも…

   平和の願いをシャッター音に込めて
皆からよく受ける質問がある。「いくら平和を願い子ども達が好きとはいえ、これだけのプロジェクト
を継続しているのはなぜ?」「単なる情熱だけでは出来ないと思うが?」そんな時僕はいつもこう答える。
「子ども達から届くサンキューレターがパワーの源だ」と。世界にはなんと様々な子ども達がいることか。
彼らの視線は、その国の今を描き出している。共通して言えることは、安心して暮らせる社会、そして
平和を願っていることだ。たとえ、それがどんな小さな平和であっても……
このプロジェクトを通して僕のモットーは「ひとりでは何もできない。だがまず一人から始めなければな
らない」また海外に出て感じるのは「写真は世界の共通語」ということだ。


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